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<2024年4月1日付納税通信第3817号 12面引用>
令和6年度税制改正で、金取引に関し、新たな消費税の制限が設けられることとなりました。具体的には、消費税を納める義務がある課税事業者が、1年度中に200万円超の金を仕入れた場合、その仕入れ年度から3年間は消費税の免税事業者になれず、簡易課税を選択することもできなくなります。従来、1回の取引単位として1千万円超の金を仕入れていればこの制限が発生するとされていましたが、取引単位ではなく1年度で200万円としたことで、広くこの制限に抵触することとなります。
金取引に関する消費税の税逃れといえば、数年前まで行われていた金還付スキームが思い出されます。これは金取引を数回繰り返すことで、本来は還付されない居住用賃貸建物の消費税の還付を受けられるというスキームです。このスキームは令和2年度改正でブロックされていますので、今回の改正はこれとは異なる、新しい金取引の節税をブロックするための税制改正と思われます。
実際、どのような節税が問題視されたのか、考えられることの一つに、課税事業者である期間中に大量の金を仕入れ、免税事業者になった後にその金を売るという仕組みが考えられます。こうすれば大量の金を仕入れた年度では多額の仕入れ税額控除を受けられる一方で、免税事業者になれば消費税が課税されませんのでいくら売っても消費税を納税する必要はありません。
詳細は割愛しますが、改正前の制度でも、課税事業者がその翌朝から免税事業者になる場合、上記のスキームを行っても消費税は還付されませんでした。しかし、これも消費税の抜け穴なのですが、この制限は発生しません。加えて、翌期以降に免税事業者になれなくても、売るタイミングで簡易課税を選択すれば、金の売却額に対する消費税を節約することができますから、購入した金の消費税の全額とはいかないまでも、差し引きで考えてもそれなりの消費税の還付を受けることができるわけです。このため、このあたりの消費税の抜け道をうまく操作すれば、理論的には消費税が還付されることもあり得ました。
実際、このようなスキームが行われていたのかは分かりませんが、金取引に対してこのような改正が行われるのであれば、3年間は課税漏れが発生しませんので、おそらくはこれらの点を考慮したものと解されます。ただし、200万円程度の金取引でもNGとなると、善良な納税者が、余裕資金で金を運用するようなケースも問題になるわけで、そうなると金取引の前にこの制度が問題になるかどうか、税理士はチェックしなければならず、ただでさえリスクが大きい税理士業務について、また面倒な問題が生じることになります。
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