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第27号 国税が地裁で敗訴「総則6項」認められず                    タワマン裁判後初の司法判断 

2024年2月5日付 納税通信第3809号 2面引用>

 税法上は合法であっても国税当局が税逃れとみなせば否認できる、いわゆる「総則6項」に関する裁判で、東京方裁判所は1月18日、総則6項を適用した国税当局の主張を全面的に退ける判決を下した。総則6項の適用を巡っては、2022年4月に最高裁が一定の基準を示しており、その判例に従った初の司法判断となる。納税者が申告した相続税評価額と、当局が算定した評価額には約10倍の開きがあったとされ、それにもかかわらず納税者が勝訴したことは今後の相続税対策にも少なからず影響を与えそうだ。

 今回の裁利では、 オーナー企業の非上場株式の相続税評価についての妥当性が争われた。中小企業のオーナー社長だった父親が2014年に、事業売却・提携を目的として他社と株式譲渡の契約に向けた協議を行うことで合意。その際、譲渡価格は1株当たり約10万5千円だったという。

 その後間もなく、父親が死亡したことから母親や子どもら(今回の原告)が自社株をそれぞれ相続により取得。事業売却の方針に変化はなかったため、そのまま1株10万5千円で譲渡が行われた。

 翌年、相続税の申告に当たって原告である子らは、自社株の評価額を通達に従って行った。類似業種比準価額に沿って算定したところ、1株当たりの評価額は約8千円だったという。その額で相続税を申告したところ、国税当局が「税逃れである」として総則6項を適用したとものだ。

 当局が算定した評価額は1株当たり8万円で、その差は約10倍にも上る。これに納得できない納税者は国税不服裁判所に申し立てたが、20年8月に下された裁決結果では、当局の処分に問題はないとするものだった。

 22年の最高裁判決では、いわゆる「タワマン節税」によって評価額と実勢価額にかい離が生じたケースについて、相続税の負担軽減を意図して不動産の購入や資金の借り入れが行われ、実際に相続税額がゼロになったことなどをもって、「他の納税者との間に看過しがたい不均衡が生じ、租税負担の公平に反する」と、総則6項の適用を認めた。

 一方で、「通達評価額(路線価)と鑑定評価額(実勢価格)との間に大きなかい離があるということができるものの、このことをもって(特別の)事情がるということはできない」とも述べ、価格のかい離自体が、総則6項を適用する理由にはならないとの基準を置いた。

 今回の判決で岡田幸人裁判長は、最高裁判決のケースとは異なり、租税回避目的の自社売却がおこなわれたとは認められないと指摘。そのうえで自社株の売却価額と通達に従って算定した価額に約10倍の開きがあったとしてもそれをもって総則6項の適用基準を満たすとはいえないとした。

 裁判では、租税回避目的と認められる例も示されている。それによれば、父親の生前に売却合意が整って手続きをいつでも完了させられたにもかかわらず、税負担を軽減する目的で手続きをことさら相続開始後まで遅らせたり、売却時期を父親の死後に設定したりというケースなどが該当するという。



谷の私見
 今回のケースでは、財産評価通達で相続税の計算をした後に、株式売買しているので、株式譲渡税が課税され、それで問題ないはずですが、相続税で課税するほうが税額が大きい、という国税側の考えもあったのでしょうか。
 株式評価については、評価自体が本来どうあるべきか、は非常に難しく、評価方法を一律に決めるのが難しいので、このような問題が起きるのでしょうね。

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