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<2022年10月10日付納税通信 第3742号 12面引用>
1.高所得ほどオイシイ制度
任意の自治体に寄付をすると住んでいる場所に納める住民税などが差し引かれる「ふるさと納税」を利用して2021年度に寄せられた寄付総額は約8302億円となり、前年より1千億円以上増えて2年連続で過去最高を記録した。
ふるさと納税については、「寄付をすると、ご自宅でも高級な牛肉が食べられます」というように、低所得~中所得世帯にとってありがたい制度のような説明をされることが多い。その説明も誤りではないが、同制度で本当に得をするのは間違いなく高所得者層だ。
ふるさと納税は、自分の住む地域以外に寄付をすると、手数料2千円を差し引いた残額が本来住んでいる自治体に納めるべき住民税などから差し引かれるただ、差し引かれる額には上限があり、住民税のうち所得割額の20%を超えた寄付は、何の税優遇も受けられない純然たる寄付となってしまう。上限を超えない限り、実質的な手数料2千円を引いた残りの寄付全額は、本来納めるべき税額と“相殺”される。仮に寄付上限100万円の人が満額を寄付したとすると、98万8千円分は本来自分が納める税額から差し引かれることになる。この「2千円負担」は所得にかかわらず一律なため、2千円を引いた額が多い、つまり所得が高い人ほど税金と相殺できる額も多い。もっとも、ここまでなら所得による差は生じない。どこかの自治体に寄付をすると、寄付した分だけ本来納めるべき税金が差し引かれるというだけで損も得もない。
しかし、制度に本来組み込まれていない、自治体からの返礼品が絡むと話は変わってくる。ふるさと納税の人気の理由は、言うまでもなく自治体から善意のお礼として送られる返礼品だ。そして返礼品は寄付金額に応じてグレードが上がっていく。多額のの寄付をしてくれた人には、その分だけ立派なお礼をするというのが建前だが、その裏には豪華返礼品を用意することで高額納税者の寄付を集めたいという自治体の思惑がある。
前述のように、寄付金額にかかわらず寄付者の実質負担は2千円で変わらない。にもかかわらず寄付金額が高ければ高いほど返礼品の内容は豪華になる。これが高所得者こそがふるさと納税制度が"オイシイ"理由だ。仮に年収が3千万円ある経営者だと、扶養親族の数など状況によって変動はあるものの、損をしない寄付上限はおよそ100万円だ。100万円を寄付すると、手数料の2千円が引かれ、残る98万8千円が本来住んでいる自治体に納めるべき税金から差し引かれる。100万円は財布から出ていったが、そのうち98万8千円は将来的に住民税なり所得税で納めなければならないものなので、実質的に支出したのは2千円だ。だが形として100万円を寄付した経営者のもとには、それだけの寄付に見合う返礼品が送られてくる。
2.税優遇を受けるための2つの注意点
満足いくまで返礼品を選んだら、きちんと税優遇を受けるための手続きについても確認しておきたい。ふるさと納税に関する主な注意点は2つあり、1つ目は、前述したような税金から差し引かれる上限額を超えて寄付をしてしまうパターンだ。ふるさと納税で控除できる税額は収入や家族構成などによって変わり、その計算式は意外に複雑だ。これらをまとめて「住民税の2割が限度」と説明することもあるが、必ずしも正確な上限額ではない。無難なのは住民税の2割よりやや少ないくらいの寄付をすることだが、税優遇を最大限までキッチリ使いたいというのであれば、顧問税理士に頼んで正確な寄付上限額を確認してもらうとよいだろう。
注意点の2つ目は、年末ギリギリになって寄付をしようとしたものの、処理が年内に間に合わないというケースだ。12月31日までに入金できれば今年分の寄付として認められるが、納付書を使って寄付するときには金融機関の最終営業日が実質的な締め切りとなる。また自治体によってはクレジットカード以外の納付方法の締め切りを早く設定している所も多い。なるべく余裕を持って、入金まで済ませておきたい。
3.電子申告で手続き楽に
なお、一昨年から、「ふるさとチョイス」や「さとふる」など国税庁が認定した事業者のポータルサイトからの寄付については、複数の寄付金受領デー夕をまとめてポータルサイトから受け取りそのデー夕を申告時に添付するだけで済むようになっている。後から税金で返ってくるとはいえ、一時に財布から数十万円を支出するとなれば、手元が叔しくなる可能性もないではない。また年末が近づくほどに寄付が増えて人気の返礼品は"売切″となることを踏まえ、早めに返礼品選びを始めるのがいいだろう。
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